リハビリテーション

アイシングについて

アイシングについて

アイシングは、道具を使用するセルフケアの中でも簡便で頻繁にスポーツ現場でも実施されているかと思います。アイシングはどのような症状の方が、どのような方法で実施すれば良いかを今回紹介したいと思います。

どのような症状にアイシングを行った方が良いか?

スポーツ現場でよく見られるアイシングの使用方法として、RICE処置(Rest:安静、Ice:冷却、Compression:圧迫、Elevation:拳上) が挙げられます。RICE処置は、スポーツをしている中で起こる急性外傷(捻挫・肉離れ・打撲など)に対する応急処置として推奨されております。怪我をした部位を冷やすことによって、急性炎症や内出血、浮腫(むくみ)を抑制し組織の回復を早めることが期待されます。また、慢性的なスポーツ障害(アキレス腱炎や膝蓋腱炎など)に対しても、痛みを軽減させることが可能です。クールダウンと一緒に実施することで、効果があると言われています。

アイシングの方法

アイシングを実施するうえで、重要なことは1.冷却温度、2.冷却時間、3.インターバル(冷やす間隔)と言われています。

  1. 冷却温度:アイシングの冷却温度が氷点下であると凍傷になる恐れがあります。家庭用の冷凍庫で作成した氷は0℃以下に凍っている場合がありますので、すぐに使用はせず、表面が溶け始めてから使用をするようにしてください。
  2. 冷却時間:アイシングは、急性外傷・スポーツ障害ともに15~20分程度の実施が望ましいとされています。アイシングを実施すると、①強い冷感, ②灼熱感, ③疼痛, ④感覚消失の順で感じ、感覚が消失するまでに約15~20分と言われています。感覚がなくなったらアイシングを終了するようにしましょう。
  3. インターバル:急性外傷の場合、15~20分のアイシングを1~2時間の間隔をあけて、24~72時間継続することが望ましいと言われています。また、急性外傷後のアイシングは、バンテージによる圧迫と併用することで効果が高いと言われています。スポーツ障害のインターバルは急性外傷ほど繰り返す必要性はありませんが、繰り返す場合は最低2時間以上の間隔をあけることが推奨されています。

具体例①<足関節捻挫(足関節外側靭帯損傷)>

足関節を捻った場合は、まず痛みのある部位を確認してください。(写真は足首を内側に捻って外側の靱帯を痛めた例です。)

  1. 足関節外側の靭帯損傷があると考えられる部位(痛みや腫れのある部位)周辺にアイスバッグを当てます(図1)。
  2. バンテージを引っ張って圧迫を加えながら固定します(図2)。
  3. 心臓より高い位置に足を挙げて、安静を取ります(図3)。

具体例②<大腿後面(ハムストリングス)の肉離れ>

肉離れのRICE処置の場合には、患部の安静を保つために筋肉の力が抜けた状態に保つことが大切です。

  1. うつぶせで膝関節を曲げることでハムストリングスの力を抜きます。
  2. 痛みのある部位を確認して、アイシングを行います(図4)。。
  3. (必要であれば、バンテージで固定をします。)

具体例③<大腿前面(大腿四頭筋)の打撲>

打撲(激しくぶつけた場合)では筋肉が挫滅しているため、損傷した筋肉が伸張される肢位をとることによって筋肉の連続性が正常化されます。

  1. あおむけで膝関節を曲げて大腿前面を伸張させます。
  2. 痛みのある部位を確認して、アイシングを行います(図5)。
  3. 痛みのない範囲で打撲をした筋肉が伸張された位置になるようにバンテージで固定をします(図6)。

具体例④<野球肘などの慢性障害>

慢性的なスポーツ障害(アキレス腱炎、膝蓋腱炎、野球肘など)にもアイシングは痛みを軽減させる効果があります。

  1. 痛みのある部位に対して氷(アイスキューブ・アイスカップ)を当てて動かしながらマッサージをします(図7)。
  2. 15~20分(感覚がなくなるまで人によって差があります)のアイシングで取り外します。
  3. アイスキューブを使用する場合は、水滴を拭き取りながら実施をしてください。

アイシングの注意点

アイシングの注意点としては、凍傷や神経損傷が挙げられます。長時間の冷却は、凍傷の危険を伴いますので、感覚がなくなったら終了するように気を付けましょう。睡眠中は過剰な冷却を避けるため、行わないようしましょう。また、冬季など環境温が低い場合や、強風・降雨によって体温が奪われやすい環境では全身の体温低下に注意して実施するようにしましょう。

神経損傷は、肘の内側など神経が皮膚に近い場所で長時間実施することで起こる可能性がありますので注意してください。

また、先にも述べましたがアイスキューブやアイスカップを作成して使用する場合に、家庭用の冷凍庫から取り出した氷、アイスパック用の市販の保冷剤は0℃以下に凍っていることもあるため、表面が溶けてから使用するようにしましょう。

【引用文献】

  1. 土屋明弘、佐藤謙次、小松絵梨子:アイシングの適応と注意点, 臨床スポーツ医学Vol.32 (5), pp484-487
  2. 加賀谷善教:スポーツ障害に対するアイシングの効果, 臨床スポーツ医学Vol.32 (5), pp488-492
  3. 加賀谷善教:寒冷療法, 理学療法学32:pp265-268, 2005
  4. 小笠原一生:アイシングが生体に及ぼす影響, 臨床スポーツ医学Vol.32 (5), pp480-483
  5. 山本利春:アイシングの実際-凍傷への注意, アイシングの方法, クーリングダウン時のアイシング. Sportsmedicine Quarterly 9:13-21, 1997
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