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2020.09.01 ふなせいコラム:肩 | 肩関節周囲炎肩関節周囲炎とは・・・ 50歳代を中心に多発し、肩関節に痛みと運動制限をもたらす疾患の総称です。 日本では五十肩と同義語的に解釈されています。 原因 発症のプロセスはいまだ明らかではありませんが、肩周囲の筋肉や腱、靭帯、関節包、滑液包などの組織が加齢などにより炎症を生じることが要因と考えられています(図1)。 図1:肩関節周囲炎の主な炎症部位 症状 主症状は、肩周囲の痛みと動きの低下です。特に結髪・結帯・更衣などの日常生活動作が障害されます。 夜間痛(就寝時の痛み)も特徴です。 肩関節周囲炎の病期は、炎症期・拘縮期・回復期に分類され、 症状もそれぞれの時期で異なります(図2)。 炎症期 (痛みがとても強い時期) 明らかなきっかけなく、急速に強い痛みが生じます。多くの場合、安静時痛・夜間痛を伴います。 拘縮期 (肩まわりの動きが硬くなる時期) 強い痛みがやわらいだのち、肩の動きが悪くなる「拘縮」へと移行する時期です。 肩を動かした時に痛みを感じたり、動きの悪さから日常生活動作に不自由を感じることが多くみられます。 回復期 (症状が回復してくる時期) 運動時の痛みや運動制限が次第に改善する時期です。積極的なリハビリを行うことで、 肩の動きの回復が早くなります。 図2:肩関節周囲炎の病期と症状 診断・治療 画像診断:X線画像、関節造影検査、MRIなど 治療:保存療法(服薬、関節内注射、リハビリテーション)、関節鏡視下手術など リハビリテーション 療法士による状態チェック 患者さんの状態に合わせたリハビリを行うため、療法士が患者さんの姿勢や関節の動き、筋力などをチェックし、痛みに関連すると思われる問題点を探ります。(姿勢の観察、動きのチェック、筋力のチェックなど) 病期に合わせたプログラムの実施 得られた情報をもとに病期に合った個別のリハビリプログラムを実施します。 炎症期 痛みに配慮しながら肩周囲の筋肉や関節包の硬さを防いでいきます。 療法士の管理のもと、物理療法や肩甲骨の動きを広げる運動、ストレッチなどを徐々に行っていきます。 また、療法士が自宅で行える運動を指導します。 拘縮期 積極的な運動療法により、肩関節の動きを広げていきます。 療法士の指導のもと、個人のお仕事やスポーツ特性を踏まえた動作練習やトレーニングを行います。 回復期 積極的な運動療法により、肩関節の動きの拡大を目指します。 療法士の指導のもと、肩周囲の筋力強化や腕を挙げるための土台となる肩甲骨を安定させるトレーニングなどを進めていきます。 また、目標とするお仕事やスポーツなどの活動復帰に向けて、それぞれの特性を踏まえた動作訓練を行います。 症状には個人差があります。 いずれの時期も、必ず療法士による指導のもとにリハビリを行うことが大切です。 患者さんからよくあるQ&A Q:四十肩・五十肩は放っておけばいつか治るって本当ですか? A:中にはそのような方もいらっしゃるかもしれませんが、必ず治るとは限りません。 自己判断での放置・または不適切な運動により、症状が悪化したり回復が長引いてしまうケースがあります。 出来るだけ早期に受診し、適切な治療を受けることが大切です。 Q:肩が痛くても、沢山動かした方が早く治りますか? A:必ずそうとは言えません。 安静にしていてもズキズキうずくような痛みがある安静時痛や、 就寝時に痛みで起きてしまうような夜間痛などが生じる炎症期では、 沢山動かすと痛みが強くなってしまいます。 炎症期でなくても不適切な運動により悪化する可能性もあるので、 動かした方がよい時期か医師や療法士の意見を聞くことが重要となります。 Q:四十肩・五十肩はどれくらいの期間で治りますか? A:患者さんの状態には個人差がありますが、約半年~1年かかると言われています。 症状を長引かせないためには、早期から1人1人の状態に合った治療やリハビリプログラムを行うことが大切です。 Q:四十肩・五十肩になってしまった後、テニスや野球などのスポーツに復帰することはできますか? A:多くの場合できます。 ただし、肩の動きや筋力など、各スポーツに必要な機能を獲得してからスポーツを再開することが大事です。 スポーツ復帰を目指すリハビリでは、肩の機能を獲得したのちスポーツに合わせた動作訓練なども行っていきます。 |
2020.09.01 ふなせいコラム:スポーツ豆知識 | 熱中症とは熱中症とは 暑さの中で起こる障害の総称のことです 病型と重症度 熱痙攣(Ⅰ度) 大量の発汗があり、水飲みを補給した場合に血液の塩分濃度が低下して起こるもので、筋肉の興奮性が亢進して、手足や腹筋の痙攣と筋肉痛などの症状がみられる。 熱疲労(Ⅱ度) 目立った体温上昇はみられないが、脱水による全身倦怠感、脱力感、めまい、吐き気、嘔吐、頭痛などの症状が起こる。 熱射病(Ⅲ度) 過度に体温が上昇(40℃以上)して、脳機能に異常をきたし体温調節が破綻した状態です。意識障害は、周囲の状況が分からなくなる状態から昏睡まで、程度は様々である。脱水が背景にあることが多く、血液凝固障害、脳、肝、腎、心、肺などの全身の多臓器障害を合併し、死亡率が高い。 どんなことが身体におこるか? Ⅰ度(からだが少しおかしい) 大量の汗 手や脚がいたい。筋肉がピクピクする 少しの時間、ふらふらする Ⅱ度(からだがおかしいな!) 頭がくらくらする 体がだるい はいてしまう Ⅲ度(すごくからだがおかしい!) 倒れる おかしな話をしたり変なことをする 息がはやくなる 熱中症の発生状況 当院のスポーツ障害予防に対する取り組みとして、成長期に起こりやすい障害について講義し、理学療法士が選手個別にフィジカルチェックを行い、選手自身の弱点を明確にしたうえで、克服のためのストレッチ方法の指導を行う「成長期スポーツ障害予防教室」を開催しています。教室では、上記のようなウォーミングアップ・クールダウンについてもご説明させていただいております。ご興味のある方は是非参加してみてください! 熱中症になりやすい環境 屋外種目では野球・ラグビーが多く、屋内種目では柔道・剣道で多く発症しています。 熱中症は6-9月で多く発生しています。 熱中症は中学・高校生でも多く発生します。 ⇒活動が本格化してくる高校生に多く、学年では体力や技術が未熟な低学年に多い傾向 いざという時のための熱中症の処置 高温下で体調異常になった!!→熱痙攣 ナトリウムを含んだ通しの良い場所へ移動 正常に答えるがめまい・頭痛・大量の汗・脈拍は速く弱いなどがみられる→熱疲労 ナトリウムを含んだ通しの良い場所へ移動 正常な受け答え困難意識消失・見当識障害発汗停止・速く強い脈→熱射病 救急車を要請し、医療機関へ呼吸の確認風通しの良い場所へ移動身体を冷やす(首、脇、足のつけね) スポーツにおける熱中症予防のポイント 1.熱中症に対する認識を持つ 気温30℃以下でも湿度が高いと起こりやすい 激しい運動では30分でも死亡事故が起こることを認識しておく トレーニング効果を上げるために暑さ対策が必要 2.死亡事故の実態を把握する 持久走、ダッシュの繰り返し 個人差(体力、暑熱への慣れ)、体調に注意、特に肥満者 3.トレーニング中の対策 休憩を頻繁(30分毎を目安)に、水分(0.1~0.2%食塩水)を摂取 |
2020.09.01 ふなせいコラム:スポーツ豆知識 | 柔軟性のセルフチェックと対処法 ~下肢編~柔軟性のセルフチェックと対処法について 筋肉の柔軟性が良いとスポーツ障害を起こすリスクが減ると言われています。そのため、自分がどの程度「身体が硬い、身体が柔らかい」と知っておくことは、スポーツをする上で重要となります。今回は、自分で簡単にチェックすることの出来る柔軟性テストとその対処法をご紹介したいと思います。 ①前屈テスト 前屈テストは、太もも後面の柔軟性を測定するテストです。前屈して、膝を伸ばしたまま地面に手のひらが接地すれば○とします。前屈をしても地面に手のひらが接地しなければ×とします。もし前屈をした際に地面に手のひらが接地しなければ、太もも後面の柔軟性が低下していると判断します。前屈テストを改善するために、太もも後面のストレッチを行いましょう。 ②しゃがみこみテスト しゃがみこみテストは、ふくらはぎの柔軟性を測定するテストです。両足の踵を地面につけたまましゃがみこみます。踵が地面から離れずにしゃがみこむことが出来れば○とします。しゃがみこむ際に踵が上がってしまう、しゃがみこむことが出来なければ×とします。しゃがみこんで踵が浮いてしまったり、しゃがむことが出来なければ、ふくらはぎの柔軟性が低下していると判断します。しゃがみこみテストを改善するために、ふくらはぎのストレッチを行いましょう。 ③膝抱えテスト 膝抱えテストは、太ももの付け根の柔軟性を測定するテストです。片方の膝を胸の前につけるように抱えます。その際に、反対の足が床から浮かなければ○です。抱えた際に、反対の足が床から浮いてしまうと×となります。もし足が浮いてしまったら、太ももの付け根の柔軟性が低下していると判断します。膝抱えテストを改善するために太ももの付け根のストレッチを行いましょう。 いかがでしょうか?皆さんは、3つの柔軟性チェックのうちいくつ○が付きましたか?×が多かったという方でも、ストレッチを継続的に実施することで○になります。定期的に自分自身で柔軟性チェックを行い、障害の予防・運動パフォーマンスの向上に繋げていきましょう。 また、当院の各障害予防教室では、セルフチェックの方法とストレッチ方法を障害に合わせてご説明させていただいております。ご興味のある方は、是非参加してみてください。 |