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人工関節センター(高度な技術により積極的な日常生活を)

人工股関節置換術(THA)

変形性股関節症(osteoarthritis of the hip)は、関節軟骨の変性を主病変とする疾患です。先天的な股関節の適合障害(先天性股関節脱臼、臼蓋形成不全)や加齢に伴う退行性変化によって関節を構成する軟骨が変性、磨耗し、次第に骨棘(こつきょく)を形成し関節全体の形は変形し関節の適合性が不良となり歩行障害を含む日常生活動作の障害を引き起こします。
症状として、股関節痛、運動痛などで変性が進行するにつれ痛みは持続性となり安静時や夜間痛も現れます。
当院では保存療法で改善が得られない場合は手術にて人工関節置換術を行っています。

オペ前後のレントゲン画像

手術前

人工股関節置換術:術前のレントゲン写真

骨頭は変形し、関節を構成する骨と骨の隙間が狭小化しており、末期変形性股関節症です。

手術後

人工股関節置換術:術後のレントゲン写真

人工関節置換術にて本来の股関節の機能を取り戻せるようになります。

人工関節

骨との親和性の高いチタン合金製のカップとステムを骨盤側、大腿骨側にしっかりと固定し、関節面には磨耗の少ない素材を用いております。

人工関節

人工股関節置換術について

当院の人工股関節置換術はここが違う。

入院期間は6日間(両側同時でも8日間)

T字杖という小さな杖で病院外回りを一人で歩け、階段が昇降できるようになったら退院となります。こうなると家庭生活には問題なくなります。よく早すぎるような質問がありますが、決してそうではありません。95%の患者がこの時期で退院可能となります。

手術後の姿勢の制限がない

術後は股関節を一定以上曲げてはいけないのですかという質問をよく耳にしますが、当院ではそのような股関節姿勢の制限は一切ありません。正座、和式トイレ、自転車などすべて許可しております。レクリエーション程度の運動も可能で、ゴルフ、テニス、ハイキングなどを楽しんでいる方もおります。

以下にその理由が書かれておりますので、お読み下さい。

いわゆる最小侵襲手術(MIS: Minimum Invasive Surgery)について

人工関節の分野においても、最小侵襲手術という言葉が当たり前になりました。皮膚切開を最小限度の長さとし、人工股関節手術を行うというものです。従来は20〜30cmほど皮膚を切開していたのですが、MISですと10cm以下となります。これにより、手術による影響を最小限にし、早期リハビリ、早期社会復帰を可能にすることを目標にしております。しかし、批判もあります。それは現在実施されているMISのほとんどが、当院の前方進入法【DAA】とは違い、皮膚の切開をただ短くしただけで、皮膚の下では従来法と変わらず筋組織を剥離、切離してしまっているからです。最近の医学雑誌でも、「MISだから手術侵襲が少なく早期リハビリが可能である」という考え方には、否定的な論文が登場しております。

当院での手術方法について

当院でも平成15年より最小侵襲手術を開始し、以後、学会活動や研修、海外での手術見学などを通じ、より侵襲の小さい手術へと発展させてきました。現在では股関節周囲の筋肉を切離せずに人工関節術が可能となっております。これは従来のMISとは異なり、単に皮膚切開の長さが短いだけでなく、皮膚の下の筋組織に対しても最小侵襲です。その結果は我々の想像以上に良好なもので、手術翌日からの全荷重歩行が可能となりました。安定した杖歩行までには、術後5日ほど要しますが、これまでの手術方法では考えられないほど早いリハビリが可能となりました(動画2)。また、両側同程度に痛んでいる場合、両側同時手術も行っておりますが、いかに、侵襲が少ないかは、特に、この両側例で顕著な差となります(動画3動画4)。他の病院の両側同時手術では、通常2ヶ月近い入院ですが、当院では8日間です。この結果は、いくつかの学会で発表しておりますので、こちらをご覧下さい。両側同時手術の患者さんは、かなり症状が進行するまで我慢していた方が多く、術者としては手術自体大変ストレスフルなのですが、術後には「先生のおかげで人生が変わりました。」といって喜んでくれる患者さんも多く、頑張ってやっております(動画5)。

当院のMISは、筋組織を切離せずに行う前方進入法(Direct Anterior Approach)です。これは、股関節前方より10cm以下の皮膚切開で、股関節に進入し、股関節周囲の筋肉は切離せずに、人工関節を設置するという手術です。この結果、縫合不全(手術で縫合した筋肉などが離解すること)などの心配なく、早期にリハビリを進めることができます。これは術後の股関節の筋力の回復を調査した結果からも明らかですし、何より、手術直後の良好な歩容で一目瞭然です(動画2動画3動画4)。また、この手術方法は、術後の脱臼予防にも有利であり、当院では、脱臼予防に対しての術後の活動制限を一切行っておりませんが、脱臼率は、1%程度であり、しかも術後早期に集中しております。術後3週以降の脱臼率は、0.2%程度と、極めて低率です。

動画1:mpg2104KB

術後5時間より、希望あれば歩行が可能です。排便はベッド上ではしたくないなどの希望があれば、歩行器を使ってトイレ歩行が可能です。

動画2:mpg2590KB

当院では、毎週水曜日に5人ほど人工股関節手術を行っておりますが、その5人の術後5日目(翌週の月曜日)の歩行の様子です。

動画3:mpg2202KB

79才女性、両側同時人工股関節置換術後4日目の歩行の様子です。79才という高齢者ですが、両側同時手術が十分可能です。

動画4:mpg4807KB

61才女性、両側同時手術後1週間目の歩行の様子です。

動画5:mpg2632KB

51才女性の術前の歩容。屋内伝い歩きがやっとの状態です。

動画6:mpg2164KB

術後6週です。かなり回復し、大満足とのことです。

動画7:mpg1570KB

術後3ヶ月です。早歩きしてもらいました。