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| 2026.01.17 ふなせいコラム:膝 | ジャンパー膝(膝蓋腱炎)のリハビリテーションはじめに こちらのコラムでは、スポーツで膝の痛みがある方への対処法を理学療法士が解説いたします。 当院の解説 船橋整形外科病院は千葉県船橋市に所在し、”整形外科における専門医療の実践”を柱とした整形外科専門病院です。手術件数などの詳細はこちらをご確認ください。 〜目次〜 1. ジャンパー膝〜お皿の下が痛い〜 2. 原因〜なぜ痛くなるのか〜 3. 診断〜ジャンパー膝のみつけ方〜 4. 重症度分類〜どの段階まで進行しているか〜 5. リハビリテーション 6. さいごに 1. ジャンパー膝〜お皿の下が痛い〜 ジャンパー膝は、スポーツや部活動で繰り返される「ジャンプ」や「着地」を多く行う人にみられ、膝の痛みを主な症状とする障害です。特にバレーボールやバスケットボール、陸上競技(特に跳躍系)での発症頻度が多く報告されています。 本稿では、ジャンパー膝の原因や重症度の見分け方、効果的なリハビリ方法を解説します。 2. 原因〜なぜ痛くなるのか〜 膝のお皿(膝蓋骨:しつがいこつ)の下には膝蓋腱(しつがいけん)と呼ばれる、太もも前面の筋肉(大腿四頭筋)と脛(すね)の骨をつなぐ腱があります。この腱は、太もも前面の筋肉が伸び縮みしたときに、脛を引き上げたり下げたりします(図1)。 図1 膝の構造 また、着地からジャンプする際に力を貯めて放出する役割があります。ところが、急激な膝の曲げ伸ばしや、悪い姿勢での着地が繰り返されることで膝蓋腱に微細な炎症が起こり、膝の痛みにつながります(図1、写真1)。 写真1 悪い姿勢での着地 つま先が外を向き、膝が内を向く姿勢 原因には以下のものが挙げられます。 ✓硬い床面でジャンプ・着地動作の繰り返し ✓柔軟性の低下 (ハムストリングス、お尻、大腿四頭筋など) ✓急激な運動量の増加 ✓悪い姿勢での着地を繰り返す (写真1) 3. 診断〜ジャンパー膝のみつけ方〜 以下の症状・所見でジャンパー膝を疑います。 ✓膝蓋腱が押されて痛い ✓ジャンプやダッシュ、歩行や階段で痛い ✓画像所見(MRI・エコー等) 膝蓋腱の肥厚や炎症や変性が確認できる 骨折や骨の変形がないことを確認するために、レントゲン撮影も行います。 4. 重症度分類〜どの段階まで進行しているか〜 重症度は痛みの程度で分類されます。 ✓Roels分類 5. リハビリテーション リハビリテーションの目的は、痛みの軽減と膝にかかっていた負荷を調節することです。膝にかかっていた負荷を下げるために、「どの動作で膝が痛むのか」を確認します。ダッシュやジャンプ、着地などの動作で痛みがある場合は、控えるよう説明します。 また、炎症による痛みが強く日常生活が制限される場合には、アイシングを15~20分程度実施します(写真2)。 写真2 アイシング そして、膝蓋腱へのストレスを軽減するために、膝関節だけでなく股関節や足関節の柔軟性と筋力のチェックを行います(写真3~5)。 写真3 ハムストリングスの柔軟性チェック 写真4 お尻の柔軟性チェック 写真5 大腿四頭筋のチェック リハビリ開始の段階では、柔軟性の確認とストレッチの処方を行います(写真6~8)。 写真6 ハムストリングスのストレッチ 写真7 お尻のストレッチ 写真8 大腿四頭筋のストレッチ 柔軟性、筋力を確認したあと、パワーポジションを確認します(写真9)。 パワーポジションは、素早く力を発揮したい時に体が最もスムーズに動ける姿勢のことです。ジャンプやターン、着地からダッシュなど、あらゆる動きの準備姿勢となります。 ジャンパー膝は、パワーポジションが崩れた状態で着地動作を繰り返すことなどで膝に負担がかかり、膝蓋腱に炎症が起こり膝の痛みに繋がります。パワーポジションの確認と修正は、ジャンパー膝の症状を軽減させるためにもとても重要です。 写真9 パワーポジションの確認 スクワット動作のチェック項目 1.正面 ✓肩のラインが床面と平行か ✓骨盤にある手のラインが床面と平行か ✓膝とつま先が同じ方向か 2.側面 ✓股関節で曲げられているか ✓体幹と脛(すね)が平行か ✓股関節と膝関節の動作のタイミングが合っているか 3.正面・側面 ✓足の裏の全面で接地できているか (足先や、かかとが浮かないか) さらに当院では経過に応じて、物理療法機器を利用した治療も行います。拡散型圧力波は慢性的なジャンパー膝に対し、徐痛効果と組織修復を目的として使用します(写真10)。 写真10 拡散型圧力波機器 ジャンパー膝のリハビリは、症状に合わせた治療や運動療法を選択し、必要に応じて物理療法機器を使用しながら治療を進めます。詳細につきましては、リハビリに来院された際に担当療法士へお尋ねください。 6. さいごに ジャンパー膝は、重症化させないことがポイントです。また「段階的なリハビリテーション」を実施することで十分に回復が見込めます。「放っておけば治るだろう」ではなく、早期発見・早期対応が競技復帰の近道です。 執筆:船橋理学診療部 佐野求 監修医師:高橋謙二 参考文献 1)熊井司ら.軟部組織損傷・障害の病態とリハビリテーション.MEDICAL VIEW.2022 2)石井慎一郎ら.膝関節理学療法マネジメント. MEDICAL VIEW.2018 3) 林典雄ら.整形外科運動療法ナビゲーション上肢.MEDICALVIEW.2014 4) 八木茂典ら.Anterior knee painに対する機能解剖学的運動療法-膝蓋腱周囲の痛みについて.整形外科リハビリテーション学会誌.2010 5) 八木茂典ら.ジャンパー膝の分類と運動療法.Sportsmedecine.2012 6) 東山一郎ら.ジャンパーの病態:骨梁構造,組織学的検討.臨床スポー ツ医学.2010 7)日本関節鏡・膝・スポーツ整形外科学会.膝蓋腱炎(ジャンパー膝).2023 8) 中村利孝ら.標準整形外科学第10版.医学書院.2008 |
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