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ふなせいの医師が解説 野球肘の症状と治療法

船橋整形外科病院では野球肘に対して年間約150件の手術加療を行っています。年齢は小学生から社会人まで様々で、競技レベルもアマチュア選手からプロ野球選手まで幅広く来院されています。今回はその経験をもとに、野球肘についての説明と解説を行っていきたいと思います。   このコラムの内容 野球肘とは? 野球肘の原因 野球肘の症状 野球肘の分類 野球肘の治療 野球肘の予防 自宅でできる簡単な野球肘のチェック方法 野球肘のテーピング方法 自宅でできる肘周りのストレッチの紹介 野球肘について患者様からよくある質問   野球肘とは? 野球肘とは、ボールを投げる動作によって肘が痛くなる肘の障害の総称です。野球肘は野球やソフトボール、やり投げなどの物を投げる動作だけでなく、テニスのようなラケットを振る動作で肘に強い力がかかるスポーツでも生じます。野球肘は子供だけでなく大人にも発症し、痛みのでた時期によって以下の2つに分けられます。 (1)少年期野球肘: 骨端線(成長線)閉鎖前の成長途上の骨端線や骨軟骨の障害 (2)成人期野球肘: 骨端線閉鎖後の骨、関節、靭帯の障害   野球肘の原因 野球肘は繰り返しボールを投げたり、ラケットをふることで肘に強い力がかかり、骨(骨端線)、軟骨、靭帯、筋肉に負担がかかり発症します。特に投げすぎによる野球肘が最もよく知られていますが、「肘下がり」「手投げ」「体の開きが早い」「全身の柔軟性の低下」などの不適切な投球フォームや、速い球を投げる、遠くに球を投げるなど、たった1球でも肘に大きな負担がかかると野球肘が発症することが知られています。最近ではボールの種類や大きさ、球種なども野球肘の原因になることがわかってきています。   野球肘が原因で肘が痛くなるメカニズム 肘には上腕骨(肩側)、橈骨・尺骨(手首側)の3つの骨があります(図1)。ボールを投げるときには以下のそれぞれの部位に強い力が加わり、少年期には成長軟骨や骨端線、成人期には骨や関節、靭帯に負担がかかります。肘の内側(小指側)には骨をつなぐ靭帯やボールをにぎったり押し出す筋肉がついています。したがってボールを投げるときには、内側には関節が離れようとする力(牽引力)が加わります。外側(親指側)では骨と骨(関節)がぶつかる力(圧迫力)が加わります。後ろ側(後方)では関節がぶつかる力(圧迫力)が加わります。(下の図)   野球肘の症状 野球肘の主な症状は、ボールを投げる時や投げた後に肘が痛くなることです。1球で痛みが出て投げられなくなるものや、徐々に痛みが出て痛みが慢性化するものがあります。多くは日常動作で痛みを感じることはありませんが、症状がひどくなると日常生活での肘の曲げ伸ばしで痛みを感じたり、肘が急に動かせなくなることもあります。また、頻度は低いですが、手の小指側(尺側)にしびれや力の入りにくさが起こることもあります。その結果、全力でボールを投げられなくなったり、遠くまでボールを投げられなくなることもあります。   野球肘の分類 野球肘は肘の痛む部位から内側型、外側型、後方型、その他の4つに分けられます。   代表的な疾患 内側型野球肘 少年期:内側上顆障害 内側上顆裂離損傷(剥離骨折)、 内側上顆骨端線閉鎖不全(骨端線離開) 成人期:内側側副靭帯損傷、尺骨神経障害 外側型野球肘 少年期:肘離断性骨軟骨炎 成人期:滑膜ひだ障害 後方型野球肘 少年期:肘頭骨端線閉鎖不全 成人期:肘頭疲労骨折、後方インピンジメント症候群 その他 少年期:関節内遊離体(関節ねずみ) 成人期:関節内遊離体(関節ねずみ)、変形性肘関節症   1. 内側型野球肘 投球動作では、加速期に腕が前方に振り出される際に、肘に強い負荷(外反ストレス)が肘の内側の骨の出っ張り(内側上顆)に加わります(下の図)。さらに、その後のボールリリースからフォロースルー期でも手首が背屈(手の甲側に曲がること)から掌屈(手のひら側に曲がること)、前腕は回内(内側に捻ること)、指は屈曲(指が曲がること)に素早く曲がるため、肘の内側に強い負荷が加わります。この動作の繰り返しにより、年齢によって構造的に最も弱い部分に負荷がかかり損傷が起こります。 内側上顆障害 肘の内側の骨の出っ張り部分(内側上顆)にある成長軟骨が障害されます。徐々に肘の痛みが出て、初めのうちは投球後数時間で痛みはおさまりますが、そのまま投球を続けていると痛みがおさまりにくくなります。   内側上顆裂離損傷(剥離骨折) 内側上顆障害とよく似ていますが、これはある1球を投げた時から急に痛みが出ます。肘の内側の出っ張り部分(内側上顆)の成長軟骨や骨が割れたもの(裂離といいます)で、痛みが強いことが多いため2-4週間程度の安静、場合によっては肘の固定が必要なことがあります。   内側上顆骨端線閉鎖不全(骨端線離開) 中学生頃に肘の内側の出っ張り部分(内側上顆)の成長軟骨と上腕骨の間は成長とともに癒合します。しかし、強い負荷が繰り返しかかると癒合せずに痛みの原因となることがあります。またある1球を投げた時から急に痛みが出ることもあります。投球時に内側の筋肉に引っ張られて肘の内側の出っ張り部分(内側上顆)の成長軟骨が上腕骨からはがれた状態です。ずれが大きい場合は手術が必要になることがあります。   内側側副靭帯損傷 通常骨端線が閉鎖した高校生以上で起こります。前述の投球動作の繰り返しにより、肘の外反を制御する内側側副靭帯が障害され発症します。スキーの転倒のような1回の外力で靱帯が完全に断裂する場合と異なり、野球肘では繰り返す牽引により、内側側副靱帯が部分的に損傷したり変性します。   尺骨神経障害 長年野球をすることにより肘に変形が起こり、この変形によって内側の神経(尺骨神経)が圧迫されたり、肘周辺の発達した筋肉が神経を圧迫したりして小指や薬指にしびれが出ることがあります。投げているうちにしびれが出て投げられなくなることもあります。投球の休止、腕の筋肉のストレッチ、フォームや体の硬さなどの問題を改善します。こうした治療で改善しない場合には手術が必要となることがあります。   2. 外側型野球肘 投球動作の加速期における外反ストレスによって、腕橈関節と呼ばれる肘関節の外側(下の図)に圧迫力が働き、さらにフォロースルー期で関節面に捻りの力も働きます。このストレスの繰り返しにより生じるのが外側型野球肘です。 肘離断性骨軟骨炎 10歳前後で発症することが多く、野球肘で最も重症になる障害の1つです。発症してすぐは、痛みや動きの制限などはありませんが、じょじょに運動時痛(曲げ伸ばしによる痛み)や可動域制限(曲げ伸ばしの制限)が起こる場合があります。ひどくなると病巣部の軟骨片が遊離して関節内遊離体(関節ねずみとも呼ばれます)になり、引っ掛かり感や肘が動かなくなるロッキング(関節ねずみが関節の中に挟まり、肘がある角度で動かなくなること)をきたすこともあります。   滑膜ひだ障害 投球で肘を伸ばしたとき(フォロースルー)に肘の後外側にある膜が骨に挟まって痛みを出します。   3. 後方型野球肘 ボールを投げるとき、フォロースルーでは肘が伸びますがこの時に肘の後方に衝突するようなストレスを受けます。この動作の繰り返しにより骨端線、骨、骨軟骨が痛みます。   肘頭骨端線閉鎖不全 骨端線が閉鎖する前の小学生から中学生で起こります。フォロースルーで肘が伸びる際に肘の後ろで骨同士の衝突が起こり、骨端線が開くような力が働きます。これにより骨端線の癒合が遅れたり、骨端線部分で骨が離れてしまい、骨折のようになることがあります。   肘頭疲労骨折 骨端線が閉鎖した中学生から高校生以降で起こります。フォロースルーで肘の後ろで骨同士の衝突が起こり、これを繰り返すことで疲労骨折が起こります。   後方インピジメント症候群 投球を繰り返すことで少しずつ骨に棘(とげ)のような余分な骨ができてくることがあります。これを骨棘(こつきょく)といいます。投球で肘が伸びたときに、肘の後ろで骨同士の衝突が起こり痛みを出します。   4. その他 少年期の肘離断性骨軟骨炎をそのままにしておくと病巣部から軟骨片がはがれる関節内遊離体(関節ねずみ)や骨棘(こつきょく)ができる変形性肘関節症になります。   関節内遊離体(関節ねずみ) 少年期や成人期でも起こります。関節ねずみと言われる軟骨片が関節で引っかかる際の痛みや急な動作制限(肘ロッキング)を起します。   変形性肘関節症 少年期の肘離断性骨軟骨炎を放置して進行してしまうと通常では中高年以降に起こる肘の軟骨がすり減って骨にも変形をきたす状態にもなりえます。また成人期でも投球を続けていくと変形や肘遊離体(関節ねずみ)の原因となります。   野球肘の診断   1.理学所見 医師による圧痛部位の検索が重要です。また肘関節の可動域の確認も行います。そのほか整形外科的テストを行います。(後述の図参照) 2.画像診断 実際にどの部位が損傷を受けているのか確認するために、以下の画像検査を行います。 ①レントゲン検査 骨の異常を確認する際に使用される検査です。一般的には肘関節2方向(正面像、側面像)が撮影されますが、野球肘の場合は45°屈曲位正面像を追加して撮影しています。また両肘のレントゲン撮影をして左右の比較を行います。 内側型野球肘では肘内側にある骨(内側上顆)の骨の不整や肥大、骨端線の離開、裂離骨折が確認できます。 外側型野球肘では肘外側にある骨(上腕骨小頭)の変形や欠損、遊離した骨片が確認できます。病巣部の進行状況に応じて透亮期分離期遊離期に分けられます(下の図)。   後方型野球肘では尺骨肘頭部の骨端線の離開や疲労骨折が確認できます。 その他の変形性関節症や関節内遊離体(関節ねずみ)が確認できます。 ②超音波エコー検査 筋、腱、靭帯、軟骨の異常を確認する際に使用される体への負担がない検査です。 内側型野球肘では内側の裂離骨片や靭帯損傷の有無、関節の緩みなどが確認できます。 外側型野球肘では肘外側にある骨(上腕骨小頭)の軟骨の状態が確認できます。特に肘離断性骨軟骨炎肘離断性骨軟骨炎の初期ではレントゲン検査では見つからないこともあるため有効な検査法です。最近は全国各地でこの超音波エコーを用いた野球検診が行われるようになりました。これは肘離断性骨軟骨炎肘離断性骨軟骨炎を早期に発見し、重症になる前に治療を行うために行われています。 ③CT検査 骨の異常を詳細に確認する検査です。レントゲンに比べて細かい情報を得ることが可能です。特にレントゲン検査で分からない関節内遊離体(関節ねずみ)や変形の程度がわかります。 ④MRI検査 筋、腱、靭帯、骨、軟骨の異常を詳細に確認する検査です。超音波に比べて細かい情報を得ることが可能です。   野球肘の治療   野球肘の治療法は個々の患者さんで異なります。ポジションやチームの練習状況、野球(投球)の継続を希望するか否か、また今後どの程度の競技レベルを目指すのかなど、患者さんやご家族と十分に話し合った上で治療方針を決定すべきと考えています。当院では肘自体の圧痛、可動域制限がある場合は一定期間の投球禁止による安静を行ってもらいます。同時に、肘以外の症状に合わせて下半身や体幹、肩まわりなど全身の柔軟性や筋力の改善・強化を行ないながら、段階的に肘周りの筋力強化、投球動作のチェックなどを行っていきます。野球肘は、基本的には肘の使い過ぎや過剰な負荷によるところが大きいため、肘自体の症状が改善するまでは練習日数や時間、投球数の制限、ポジションの変更などが必要になってきます。また、投球フォームにより肘に負担がかかりすぎることもありますので投球フォーム指導を行い段階的に投球開始しています。腕立て伏せや跳び箱、ドッジボールなど、肘関節に大きな負荷のかかることは禁止します。ただし肘にあまり負担のかからないランニングやバント練習、守備練習(ノックで捕球動作~送球の構えまで)バッティングなどの肘に直接負担がかからない運動は許可しています。以下野球肘の部位別の治療法について説明します。   1. 内側型野球肘 骨端線閉鎖前の内側上顆障害、内側上顆裂離損傷(剥離骨折)、内側上顆骨端線閉鎖不全(骨端線離開)では保存加療が行われます。徐々に痛んでくる場合は、痛みや可動域制限が軽度であれば、数週間〜数ヶ月の投球中止によって肘の痛みが軽快することが多いです。投球中止のあいだは、保存療法として運動やストレッチなどのリハビリを行います。1球で急に痛みが出た場合や痛みが強い場合は固定具を用いて肘を安静に保ちます。その間投球を中止し、フォームや体の硬さなどに問題があればこれを改善します。また1球の投球によって急な痛みが出て損傷や離開の程度がひどい場合は手術が選択されることもあります。 骨端線閉鎖後の内側側副靭帯損傷も原則保存療法が行われます。靭帯周りのうちがわの筋肉(回内屈筋群)は靭帯と連続し、外反ストレスから靭帯を守る役割があります。したがってそれらの筋を強化するリハビリ治療を行います。 最近では体外衝撃波治療(ESWT)や多血小板血漿(PRP)治療という再生医療なども行っています。   解説: 体外衝撃波治療(ESWT)とは、体外から疼痛部位に衝撃波を当てることで疼痛を改善させ組織修復を促す治療法です。また、多血小板血漿(Platelet Rich Plasma: PRP)を用いた治療の導入も行っています。PRPは自身の血液から組織を修復する因子を採取し、損傷した組織に投与する治療です。有効性を示す報告はありますが、現在の国内においては両治療とも保険適用外になります。詳細についてはみらいクリニックのホームページよりお問い合わせください。   一定期間(3から6か月)の保存療法を行ってもパフォーマンス低下や痛みが残り、高いレベルでの競技復帰を希望する場合にはトミージョン手術と呼ばれる靭帯再建術を行います。手首のすじ(腱)を肘に移植して靭帯を再建します(下の図)。復帰には1年から1年半ほどかかるので、ハイレベルの競技活動の継続を希望する選手や不安定性(機能不全)により肘の内側を走行する尺骨神経に障害を来すケース、強い痛み・不安定感により日常生活に支障を来すケースなど限られた患者さんのみに行っています。   2.外側型野球肘 骨端線閉鎖前の初期例(透亮期や分離期の一部)や、病巣部が大きくない場合は投球禁止、肘の安静による保存療法を行い病巣の修復、治癒をまちます。しかしその場合6か月から1年間、場合によっては1年以上の長期にわたり投球動作を禁止することが一般的におこなわれている治療法です。当院では投球禁止をなるべく短くするためにリハビリテーションを行い、肘周りの痛みや可動域、投球フォームの改善が確認できれば、病巣の修復を待たず投球を再開しています。野球を継続しながら外来通院もあわせて行い、病巣部を定期的に観察します。一方で痛みを我慢して投球を続けていると障害が悪化し、場合によっては手術が必要になることもあります。手術加療の適応は保存加療でもよくならない、進行例(分離期後期・遊離期)、病巣が大きく保存療法での治癒はほとんど期待できない例に対して行います。とくに肘の曲げ伸ばしの制限が強い、肘がロックして動かせない(肘ロッキング)、日常生活動作に支障がある場合などは、早めの手術を勧める場合もあります。骨の成長の度合い、病変の進行具合、病変の大きさなどにより手術方法が変わります。当院で行われている具体的な手術方法としては、以下が挙げられます。   ①骨軟骨柱移植術、モザイク形成術:進行例で関節面に大きな欠損が生じてしまったケースでは、骨軟骨を移植して関節を形成することが必要になります。 この手術では、一般に、骨軟骨片を(1)自分の膝関節の一部から移植する方法と(2)肋軟骨から移植する方法があります。当院では膝(肋軟骨)から採取した骨軟骨を移植し、肘を切開して関節表面の軟骨を形成する方法を当院では行っています(下の図)。 ②関節鏡視下病巣そうは術:軟骨がはがれている場合、病変が小さければ関節鏡を用いてはがれた、あるいは、はがれかけている軟骨を摘出します(関節鏡についての詳しい説明はこちら。)   3. 後方型野球肘 肘頭骨端線閉鎖不全や肘頭疲労骨折は保存加療が第一選択です。リハビリテーションによる投球動作の改善を行ったり、体外衝撃波を行って肘自体の痛みの軽減や骨癒合を目指す場合もあります。病巣部の改善がなく投球時痛が持続する場合は手術加療を行います。手術療法には観血的固定術や骨釘術などがあります。 後方インピジメント症候群では肘頭、肘頭窩での骨棘(こつきょく)形成、あるいは骨棘骨折による遊離体などを認め、リハビリテーションによる保存療法行っても動作時痛や可動域制限、競技力の低下をきたしている場合手術療法を行います。手術は関節鏡視下に骨棘(骨の出っ張り)を切除したり、遊離体を摘出することなどで関節の動きを改善・痛みの軽減を図ります。   4.その他 関節内遊離体(関節ねずみ)や変形性肘関節症は保存加療が第一選択です。関節内注射による炎症の軽減を行うこともあります。可動域制限や投球時痛が持続する場合は手術加療を行います。手術には関節鏡視下遊離体切除、関節形成術を行います。   野球肘の予防 一般的なものからそれぞれの部位別野球肘の予防法について 野球肘を予防するためには、肘にかかる負担を軽減することが大切です。ボールを投げる動作は全身を使います。下半身から生み出された力が上半身へと伝達され、最終的に手や腕でボールに力を伝えます。下半身や体幹の動きが悪いと肩や肘や手が必要以上に大きく動かされる、いわゆる手投げの状態となり、野球肘の危険性が高まります。 肘内側障害は、投球動作中の腕が一番しなる時に痛みが出やすいとされています(写真1)。肘を外側に引っ張る力が急激に加わり、内側の靭帯や筋肉が強く引き伸ばされることで障害につながります。予防するためには、肘の内側につく筋肉の柔軟性と筋力を高めることに加え、上半身から下半身まで柔軟に動く必要があります。猫背の人は肩甲骨や背骨の動きが悪くなり野球肘になりやすいとの報告もあるため、姿勢の改善も大切です。 肘外側障害は投球動作中の腕がしなる時やリリース直後に痛みが出やすいとされています(写真1、2)。肘が外側に引っ張られた時、外側の関節に圧迫やずれる力が加わることで障害へとつながります。特に手首を内側にひねった時には外側の関節への圧が高まるとされており、予防のためには手首をひねる動きが柔軟であることが大切です。 肘後方障害はリリース時に痛みが出やすいとされています(写真2)。リリース時は肘を外側に引っ張る力に加えて、肘を伸ばす力が強く働き、肘の後方で骨が衝突することで痛みを生じやすいとされています。予防のためには、肘の曲げ伸ばしの動きを柔軟に保つことや肘を伸ばす筋肉の働きを高めることが大切です。また、リリースがダーツを投げる動作のように肘から先だけを動かす投げ方になると痛めやすいため、全身を柔軟に使って投げることも大切です。   自宅で出来る簡単な野球肘のチェック方法 圧痛 内側で圧痛をチェックする部位(右肘) 写真3-赤 上腕骨内側上顆(リトルリーグ肘) 肘の内側で最も突出した部位 写真3-青 屈筋群起始部周辺(内側上顆炎) 肘の内側で最も突出した部位よりも手首側 写真3-黄 内側側副靭帯(内側側副靭帯損傷)肘の内側で最も突出した部位の前面で手首よりの部分 外側の圧痛をチェックする部位(右肘) 写真4 上腕骨外側部(肘離断性骨軟骨炎) 肘を最大まで曲げて正面で最も突出した部位の外側部分 後方の圧痛をチェックする部位(右肘) 写真5-赤 肘頭(肘頭骨端炎) 肘を軽く曲げ肘後方で最も突出した部位  写真5-青 肘頭窩(肘頭骨端炎) 肘頭のすぐ肩側の凹んでいる部分 関節可動域チェックの方法 写真6 肘伸展:胸の前で肘を伸展させる。左右差がないかを確認する。合わせて肘関節の外反(外に曲がる)についても左右差がないかチェックする。 写真7 肘屈曲:肘を体側部につけた状態で、指が肩に触れることができるかチェックする。   写真8 手関節背屈:左右を比較しながら、背屈制限やストレッチ痛の有無をチェックする。 写真9 手関節掌屈:左右を比較しながら、掌屈制限やストレッチ痛の有無をチェックする。 写真10 前腕回外:肘を体側部につけた状態でペンを握って内側に捻り、床と平行になるかチェックする。 写真11 前腕回内:肘を体側部に付けた状態でペンを握って外側に捻り、床と平行になるかチェックする。 肘関節以外のチェック(肩周り、体幹の動き) 写真12 肩の外旋(外ひねり):うつぶせになって肘をつき、腕を外側にひねる。 ※左右で差がないかを確認する。 写真13 肩の挙上と肩甲骨の動き:うつぶせで片手を額に置き、もう片方の手をあげる。 ※腕の付け根からあがっているかを確認する。左右で差がないかを確認する。 写真14 上半身のひねり:四つ這いで手を頭の後ろに置いて、天井をのぞくように上半身をひねる。 ※下半身が動かないように注意する。左右で差がないかを確認する。 自宅でできる肘周りのストレッチ 写真15 前腕から指にかけてのストレッチ:手の平を上に向けた状態で肘を軽く曲げ、人差し指と中指に反対の手を引っ掛けて肘を伸ばしていく。赤い部分に伸び感があると良い。 写真16 前腕内側のストレッチ:手の平を上に向けた状態で肘を軽く曲げ、薬指と小指に反対の手を引っ掛けて肘を伸ばしていく。赤い部分に伸び感があると良い。 写真17 前腕外側のストレッチ:手の甲を上に向けた状態で肘を軽く曲げ、手首を下に倒して肘を伸ばしていく。赤い部分に伸び感があると良い。 野球肘のテーピング方法 写真18  肘の痛みが強い時のテーピング:矢印の方向に巻く。肘が吊られているような感覚を自覚できると良い。 写真19 投球時に肘内側や外側に痛みがある時のテーピング:最初に赤矢印の方向にテープを巻き、その後黄色矢印(テープの始まりと終わり)を一周するように巻く。   投球数や練習時間、日数について   全力投球数は、小学生では1日50球以内、試合を含めて週200球以内、中学生では1日70球以内、週350球以内、高校生では1日100球以内、週500球以内が目安です。これ以上投げると肘関節障害のリスクが高まると言われています。 練習日数と練習時間は、小学生では、週3日以内、1日2時間以内、中学生・高校生においては、週1日以上の休養日をとることが推奨されています。個々の選手の成長、体力と技術に応じた練習量と内容が望ましいです。 以上で野球肘についての解説を終わらせていただきます。最後に患者さまから良く質問される内容をQ&A形式でまとめました。   Q.野球肘の予防のためにサポーターやテーピング、マッサージは有効ですか? A.サポーターやテーピングは、外反方向へかかる牽引力を軽減したり、痛みを軽減する効果があります。テーピング方法によっては、投げにくくなったり、肘関節以外への負担を大きくしてしまう場合があり、正しい方法で行うことが大切です。 マッサージは、硬くなった筋肉をほぐす効果があり、コンディショニングとしては有効です。 Q.野球肘を予防するために必要なストレッチやトレーニングはありますか? A.練習前後のストレッチは、すべての障害を予防する意味でとても大切です。肩や肘のストレッチングは必ず行いましょう。また、ピッチングは全身運動なので、股関節や体幹の柔軟性も必要です。肘関節に限れば、前腕屈筋群、伸筋群のストレッチングがポイントになります。 Q.野球肘は子供だけがなる病気ですか? A.野球肘は子供だけでなく大人にも起こり、痛みのでた時期に応じて少年期野球肘と成人期野球肘の2つに分けられます。 Q.野球肘にアイシングは有効ですか? A.ピッチング後のアイシングも有効です。ただし、痛みを感じたり、投球数が多くなったりしても、アイシングをすれば大丈夫ということではありません。 Q.野球肘を自分で治すことは可能ですか? A.安静やアイシングなどで痛みの軽減を図ることは可能ですが、根本的な原因解決には至らない可能性もあります。 Q.野球のピッチャーをやっています.野球肘にならない投げ方はありますか? A.絶対に野球肘にならない投げ方はありません。どんなにきれいな投げ方でも投球数が多ければ肘を痛めるリスクが高まります。また、ポジションや体格などでも野球肘のリスクは変わります。 Q.肘関節鏡とはあまり聞きませんが船橋整形グループではどのくらいの実績がありますか A.野球肘に対しての肘関節鏡は年間150件程度行っています。 Q.野球肘の手術の費用と入院期間を教えて下さい. A. 野球肘の手術で最も多い肘関節鏡の手術費用は約13万円です。肘離断性骨軟骨炎で更に骨軟骨移植が必要な場合は約5万円が加算されます。成人期内側型野球肘に対する肘靭帯再建術の手術費用は約15万円です。いずれも入院期間は4日間です。手術費用以外に、食事代やリネン代など入院に必要な費用も発生します。また中学生以下の患者さんの医療費は、お住いの市区町村によって患者さんの一部負担金が異なりますので、詳しくは病院係までお尋ねください。 執筆者 医師:星加昭太 理学療法士:山野拓也 永田拓也

ふなせいコラム:膝

膝の痛みがある方へ 。それ、もしかしたら変形性膝関節症かもしれません。

初めに 今回は船橋整形外科病院 人工関節センター医師より、膝に痛みのある患者さまに向けてその治療方法などについて解説させて頂きたいと思います。   当院の解説 船橋整形外科病院は千葉県船橋市に所在し、“整形外科における専門医療の実践”を柱とした整形外科専門病院です。手術件数などの詳細はこちらをご確認ください。 膝の痛みをセルフチェックしてみましょう。 まずはじめに、膝の痛みのセルフチェック方法について説明させていただきたいと思います。以下の項目を読んでいただいて、何個当てはまるかチェックしてみましょう。 膝の痛みのセルフチェック表 □立ち上がり動作や歩きはじめに膝が痛い。 □30分以上歩くと膝が痛くなる。 □階段の上り下りをすると膝が痛い。 □正座やしゃがみ込みができない。 □胡座(あぐら)が辛い。 □膝が腫れる(水が溜まって腫れる)。 □膝を動かすと変な音がする(骨が擦れてギシギシ音がする)。 □膝の怪我の既往歴(通院歴)がある。   いかがでしょうか? これらの項目が複数該当する方は「変形性膝関節症」と言われる病気かもしれません! そのまま放置しておくと、膝の痛みが増強し歩くことが困難になり日常生活に支障を来す可能性があります。一度整形外科を受診することをおすすめいたします。   次に変形性膝関節症の原因と膝の痛みの関係について解説させていただきたいと思います。   変形性膝関節症の原因と膝の痛みの関係について 膝関節では、骨と骨が接している部分に、様々な軟骨(関節軟骨や半月板など)が存在します。これらの軟骨は、衝撃を吸収したり体重を分散し、膝の動きをスムーズにする役割があります。 加齢や肥満(太っている)、重労働や激しいスポーツ、これまでの生活環境など様々な原因が重なり、軟骨が擦り減ってしまい骨と骨が直接当たってしまい膝の痛みが生じます。これが変形性膝関節症の膝の痛みが発生する原因です。   変形性膝関節症を治療しないとどうなるの? 変形性膝関節症を治療せず放置しておくと、歩くことが困難になったり正座やしゃがみ込み動作が困難になり、日常生活に支障が生じて生活の質が損なわれます。 さらに変形性膝関節症は治療をしないと悪循環に陥ります。 膝が痛い→動かなくなる→筋力が低下&体重が増加→変形性膝関節症の悪化→膝が痛い→… といった状態に陥り悪化していきます。傷んだ膝の軟骨は、自力での治療は困難です。できるだけ早期に治療を開始することをおすすめいたします。   変形性膝関節症の治療方法について解説 まず、膝の痛みが本当に変形性膝関節症によって生じたものなのかレントゲン撮影を行い確認します。そしてレントゲン画像をもとに変形性膝関節症の進行具合を確認し、治療方法を検討します。 変形性膝関節症の治療方法は大きく分けて「手術を行わない保存療法」と「手術療法」の2つがあります。 更に近年では、その2つに加えて自費(保険適応外)で行う再生医療と言われる治療も行われるようになってきています。 次の項目では変形性膝関節症の「手術を行わない保存療法」と「手術療法」について説明させていただきたいと思います。 再生医療について詳しく知りたい方は船橋整形外科グループ「みらいクリニック」のホームページをご参照ください。   変形性膝関節症の保存療法 変形性膝関節症と診断したら「いきなり手術」というわけではなく、まずは手術を行わない保存療法を行っていきます。 変形性膝関節症の保存療法は主に以下の4つです。これらを変形性膝関節症早期から行うことにより進行を遅らせ膝の痛みを軽減することができます。   1.薬物療法 消炎鎮痛剤(内服薬や外用薬) ステロイド注射 ヒアルロン酸注射 などです。 消炎鎮痛剤やヒアルロン酸などの薬剤を投与することにより、膝関節内の痛みの原因となる炎症をおさえ、膝の痛みを緩和させます。副作用として内服薬による消化管障害、 腎/肝機能障害、 心血管障害、 精神症状などありますので必ず医師の指導のもと適切に内服をしてください。 また、外用薬による皮膚トラブル、非常に稀ですが関節内注射時に細菌が入り感染を起こす可能性があります。   2.装具療法 足底板 サポーター 杖 などです。 目的は、膝関節の異常運動や不安定性の改善と足の向き(O脚など)を修正して膝の痛みを緩和することです。 装具療法の問題点は、装具が合わなければ皮膚トラブル を起こす可能性があることや長期使用による筋萎縮、関節への影響などがあげられます。ポイントとしては患者さんに合った装具選択・装着期間が重要です。当院でも対応できますのでご相談ください。   3.運動療法 ストレッチ 可動域訓練 筋力訓練(スクワット、足持ち上げ訓練、太ももの筋力訓練、足開き訓練など) 水中運動(プール) などです。 当院で最も力を入れている分野です。 運動療法は非常に重要です。膝周囲の筋肉が強くなると、膝の動きが安定し、膝にかかる衝撃や負担を減らし痛みの軽減につながります。また関節液の循環が改善し、軟骨への栄養供給が改善し、軟骨の質を良好に維持する効果があります。   4.温熱療法 電気・超音波器具 などです。 目的は温める事によって血液の循環を促し膝の痛みを軽減させることです。   変形性膝関節症の手術療法 保存療法でも膝の痛みが良くならず、症状が進行してしまった場合は手術療法を検討します。 変形性膝関節症に対する手術は、重症度や症状の進行具合によって主に4種類あります。その手術の適応と方法を解説したいと思います。   1.関節鏡視下手術 初期の変形性膝関節症にのみ適応となる手術です。 膝の関節に数箇所(大体2から3箇所)の小さい穴を開けてカメラを挿入し、傷んだ半月板や軟骨を取り除いたり修復する方法です。この治療方法は一時的な除痛と変形を遅らせることが主な目的です。 手術療法の中では、入院期間も短く手術後の回復も早いです。当院の関節鏡視下手術の詳細はこちらからご確認ください。   2.高位脛骨骨切り術(HTO) 高位脛骨骨切り術とは、脛骨を骨切りし足全体のO脚変形を矯正する手術法です。正常に近い角度に足を矯正する事により、膝の内側の痛みを取り除くことが可能です。 自分の関節を全て温存しているため、人工関節手術と比べ、スポーツや重労働(農作業や物を持つ仕事など)への復帰に有利です。正座も70%以上の確率で可能と報告されています。 適応は重症でない変形性膝関節症であり、比較的活動性の高い患者さんに適しています。 入院期間は10日間です。手術後約1ヶ月は松葉杖が必要です。順調に経過すれば、手術後3ヶ月頃から運動復帰が可能となります。 3.人工膝関節単顆置換術(UKA) 人工膝関節単顆置換術とは、膝の悪くなっている部分だけ(主に内側)を人工関節に置き換える方法です。膝の半分以上は正常な部分が温存されるため、手術侵襲が比較的小さく、膝の自然な動きが保たれます。特に、高齢者や早期に仕事復帰を希望される場合に有利です。 適応は、高位脛骨骨切り術と同じく重症でない変形性膝関節症です。 入院期間は8〜10日となっています。 4.人工膝関節全置換術(TKA) 人工膝関節全置換術とは、膝の傷んだ軟骨や骨の表面を除去し、金属製の人工関節と軟骨の役割を行うポリエチレンに入れ替える手術法です。感染した膝などを省けば、基本的に重症なものを含め、どのような膝に対しても行えます。 人工膝関節全置換術は、変形性膝関節症に対し最も広く行われている手術です。歩行時の除痛効果に比較的優れていますが、高位脛骨骨切り術や人工膝関節単顆置換術と比べ手術侵襲は大きくなります。また、手術後のリハビリ治療が非常に重要です。   人工膝関節置換術を受けるかどうか悩まれている患者さまからは、不安な声や心配な点が多く聞かれます。 そこで患者さまの不安を軽減するために、当院人工関節センターで手術を受けられた患者さまから多数あった質問について答えていきたいと思います。   患者さまから人工膝関節置換術についてよくある質問 Q:人工膝関節置換術とはどういった手術ですか? A: 膝の傷んだ骨や軟骨の表面だけを削り、金属製の人工関節をかぶせる手術です。 下の写真が当院で行った人工膝関節置換術のレントゲン写真です。白く写っているものが悪くなった骨の換わりになる金属製の人工関節です。またレントゲン写真には写っていませんが白く写っている金属の間に、直接金属と金属がぶつからないように関節軟骨と同じクッションの働きをするポリエチレンが入っています。 Q:人工膝関節置換術を行ったあとに行ってはいけない運動や動作はありますか?また、立ち仕事(畑仕事や農作業も含めて)などできますか? A: 手術前の痛みは軽減し、一人で買い物に行ったり家事をしたりすることが可能です。車の運転も可能で、自転車に乗られている方もいらっしゃいます。 また比較的衝撃の少ない運動(散歩、水泳、ハイキング、ボーリング、ゴルフ、テニスなど)なら可能です。サッカーやバスケットなど、他の選手と衝突したり衝撃の大きな運動に関しては推奨されていないため、主治医との相談が必要です。 正座や膝立て動作に関しては、困難な方が多いです。 畑仕事への復帰も可能ですが、全般的に言えることは、手術後のリハビリ(膝の曲げ伸ばしや筋力の回復)が重要となります。 手術後1〜2ヶ月で軽作業、3ヶ月で重労働が可能となります。   Q:人工膝関節置換術を行ったあと、どのくらいで歩くことが可能ですか? A: 手術翌日から歩く練習を開始します。早すぎると思われる方もいらっしゃるとは思いますが、手術後早期から練習を始める事により、筋力の低下を防ぐことができます。また早期から動くことにより麻酔の合併症(副作用)なども防ぐことができます。 当院での退院時には、基本的にステッキ杖を用いた屋外歩行(およそ300m)、階段昇降などが可能となっています。   Q:金属アレルギーが有るのですが人工膝関節置換術を受けることは可能ですか? A: 金属アレルギーの方でも使用しやすい人工関節も複数ありますので、御相談いただけたらと思います。必要に応じて、専門医へ紹介しアレルギーチェックなども行います。   Q:両足の膝が痛いのですが、両足同時に人工膝関節置換手術を行うことはできますか? A: 両方の膝を同時に人工関節を行うことは可能です。当院での人工膝関節のおよそ3人に1人は両膝同時に行っています。入院期間は数日長くなりますが、十分歩いて退院することが可能です。   Q:人工膝関節置換手術の手術時間はどのくらいですか? A: 当院の平均手術時間は、片足で1時間前後です。両足であっても2時間程で終了します。   Q:人工膝関節置換術の手術費用について教えて下さい。 A: 手術費用についてはこちらをご参照ください。また手術と入院にかかった医療費については自己負担額が払い戻される制度を使用することも可能ですので、お気軽にスタッフまで御相談ください。   Q:人工膝関節置換術の入院期間について教えて下さい。 A: 入院期間は片足の手術で8〜10日、両足で約12日です。 自宅からリハビリ通院を行うことが困難な患者さまは、当院退院後、自宅近くのリハビリ病院へ転院することも可能です。   Q:人工膝関節置換術の入院中の付添などは必要ですか? A: 患者さまのお手伝いは当院のスタッフが対応させていただきますので必要ありません。   Q:人工膝関節置換術の退院後の通院期間はどのくらいですか? A: 手術後3ヶ月間は、週2回程度のリハビリ通院が必要です。それ以降は、患者さまの状態に応じて調整致します。また、当院が遠方でリハビリ通院が困難な患者さまは、自宅近くの整形外科病院へ紹介状を記入することも可能です。 医師による定期的な検診は、手術後3週、1.5ヶ月、3ヶ月、6ヶ月と徐々に伸びていき、手術後1年からは年に1回の検診となります。   Q:人工膝関節置換術後の痛みは強いですか?麻酔はどのように行っていますか? A: 船橋整形外科病院では手術中は経験豊富な麻酔科医の管理のもと、患者さまの術後の痛みを少しでも軽減出来るように、全身麻酔に術後鎮痛のための神経ブロックを併用して麻酔を行っています(当院の麻酔科についての詳細はこちらから)。また神経ブロックの効果がなくなった後は、鎮痛薬の点滴や内服で痛みを軽減させてリハビリを行っています。   Q:人工膝関節置換手術の出血量は多いですか? A: 駆血帯と言われるバンドを用いて血流を断って手術を行うため、手術中の出血量は少ないです。しかし手術終了後は、膝関節内や周囲にある程度出血が生じます。 当院では、手術中に膝関節内に止血剤を注射して出血量を減らす工夫をしています。両側膝を同時に手術を行った場合でも、ほぼ輸血が必要となることはありません。   以上が人工膝関節置換術を受けられる患者さまからよくある質問です。 他にもなにか質問があれば医師、スタッフにお気軽にご質問ください。 以上で今回の「膝の痛みがある方へ 。それもしかしたら変形性膝関節症かもしれません。」のコラムを終了させていただきます。       執筆者 医師:二宮太志 看護師:金子誠      

ふなせいコラム:手術室

全身麻酔を受けられる方へ 手術室からのお知らせ

はじめに 船橋整形外科病院では毎年約5000件の手術を行っています。それらの手術が安全に行えるように、当院では10人の常勤麻酔科専門医と複数の非常勤麻酔科専門医が麻酔を担当しています。今回のコラムでは、一般にあまり知られていない麻酔についてお話していきたいと思います。また、当院での麻酔の特徴についても取り上げていきます。   麻酔科専門医とは? 日本麻酔科学会が行う筆記試験・口頭試験・実技審査に合格し、麻酔関連の臨床研究に関する十分な知識と技量を有することを認定された麻酔科関連業務に専従する医師のことを指します。   当院の解説 船橋整形外科病院は千葉県船橋市に所在し、“整形外科における専門医療の実践”を柱とした整形外科専門病院です。手術件数などの詳細はこちらをご確認ください。 本コラムの内容 (1)麻酔とは? (2)全身麻酔のしくみ (3)実際の手術の流れ (4)全身麻酔の合併症(副作用・リスク) (5)船橋整形外科病院麻酔科の特徴 (6)全身麻酔について患者さんからよくある質問 (1)麻酔とは? 麻酔は痛みを感じなくさせ、手術のストレスから患者さんの体を守ることを目的としています。手術中に意識がない全身麻酔と、意識がある局所麻酔の2種類があります。 特に全身麻酔は、呼吸が弱くなるため、人工的に呼吸を補助することが必要になりますので、強い不安を感じる方もいらっしゃるかもしれません。 そこで、全身麻酔のしくみや実際の手術の流れ、麻酔の合併症、また当院麻酔科の特徴をご説明いたします。 最後に、患者さんからよくある質問にお答えします。   (2)全身麻酔のしくみ 全身麻酔は、手術中は完全に眠っている状態なのですが、実は3つの要素から成り立っています。その3要素は、鎮静、鎮痛、筋弛緩で、それぞれを満たすために、下記のような複数の麻酔薬を組み合わせます。   鎮静:意識・手術中の記憶がないことです。 鎮静を目的とする薬剤は、静脈麻酔薬と吸入麻酔薬に分類されます。 静脈麻酔薬は、点滴から注入する薬剤です。主にプロポフォールを使用します。 吸入麻酔薬は、点滴からではなく、口に当てたマスクから眠くなるガスを吸ってもらいます。これを吸うことにより、1~2分程度の間に完全に眠ってしまいます。当院では、セボフルラン、デスフルラン、亜酸化窒素の3種類の吸入麻酔薬を使用しています。 患者さんの既往歴や術式に合わせて、担当麻酔科医が最適な麻酔薬を選択しています。   鎮痛:手術による痛みを感じなくします。 手術中に鎮痛を担う薬剤は麻薬と局所麻酔薬になります。 麻薬と聞くと悪いイメージをお持ちかもしれませんが、全身麻酔に使用する麻薬は医療用に製造されたものです。決して中毒になることはありませんのでご安心ください。 主に、フェンタニルとレミフェンタニルを使用しています。 神経の走行に沿って局所麻酔薬(リドカイン、ロピバカイン)を注入し、その領域の痛みをとる方法が末梢神経ブロックです。末梢神経ブロックのみでも短時間の手術を行うことはできますが、通常は全身麻酔と併用して手術後の痛み止めに利用します。   筋弛緩:手術中に体に力が入ったり、動いたりすることによって手術操作に悪影響が出る可能性があります。そこで、体動がない状態にすることを筋弛緩といいます。 ロクロニウムを投与すると、筋肉を収縮させる伝達物質を阻害し、筋弛緩を得ることができます。また、ロクロニウムに対し、その拮抗薬であるスガマデクスを投与することで、手術終了時に速やかに筋弛緩を戻すことができます。   (3)実際の手術の流れ ここからは、術前の注意点、手術当日の流れをご説明します。 ①手術室入室前 全身麻酔前の患者さんに気をつけていただきたいことがあります。 ・絶食、絶水 胃の中に食べ物や飲み物が入っていると、麻酔時に吐いてしまって、気管の中に入ることがあります。このようなとき、重い肺炎を起こして、命を落とす危険性があります。手術の前は指示された時間までの飲食にし、手術前に誤って食べたり、飲んだりしないように注意してください。なお、指示を守っていただけなかった場合、手術を延期することもございます。   ・ジェルネイルやマニキュア 爪にジェルネイルやマニキュアが塗られている場合、指に装着するパルスオキシメーターで血中酸素飽和度(血液中に含まれている酸素量)を測定することができなくなり、安全に全身麻酔を行うことが難しくなります。手術前には、あらかじめジェルネイルやマニキュアを除去していただくようお願いいたします。   ・コンタクトレンズ コンタクトレンズは、手術中に角膜損傷を起こす可能性があるので、手術室入室前に必ず外してきてください。   ・つけまつ毛・まつげエクステ つけまつげ・まつげエクステもお控えください。全身麻酔中は目の乾燥を防ぐためテープを貼って、まぶたを閉じるようにしています。 その際、つけまつ毛やまつげエクステで目を傷つける可能性があります。   ・外せる歯(入れ歯・ブリッジなど) 外せる歯である、入れ歯やブリッジなどは外してきてください。全身麻酔中は人工呼吸が必要になります。そのために、口から酸素の通り道となるチューブを挿入する(気管挿管といいます)のですが、入れ歯やブリッジが入ったままだとそれが脱落して気道を閉塞する可能性があります。同様に、グラグラする歯や外れやすくなっている歯の被せものも、脱落すると非常に危険ですので、術前に麻酔科医もしくは看護師に必ずお伝えください。   ・髭(ひげ)の剃毛 気管挿管したチューブは、口の周囲にテープを巻いて固定しています。口の周りに髭が伸びていますと、十分な固定を得られず、予期せずチューブが抜けてしまう危険性が高くなります。安全のため、術前には髭の処理(剃毛)をお願いいたします。   ・喫煙 手術が決まったらすぐに禁煙をお願いします。喫煙をしていると手術後に咳や痰が多くなり、肺炎を起こしやすくなることが分かっています。   ②手術室への入室 手術室の入り口で手術室看護師が患者さんの本人確認をします。これは、手術部位の間違い防止や患者取り違え事故防止のため非常に重要ですのでご協力をお願いいたします。 手術室に入り、手術ベッドに移動した後、全身麻酔に必要な装置(モニター)を体につけさせていただきます。   ③全身麻酔の開始 まず、口にマスクを当てて、酸素を吸っていただきます。気持ちをゆったりとさせてゆっくり呼吸をして下さい。意識をなくすためのお薬(静脈麻酔薬)を点滴に入れると、いつのまにか眠ってしまいます。 なお、点滴が難しい場合や、小さなお子様では、マスクから吸入麻酔薬を吸って眠った後に点滴を入れることがあります。 眠っていただいた後は、鎮痛薬、筋弛緩薬を使用し、人工呼吸用のチューブを口から入れさせていただきます。このときの記憶は全くありませんのでご安心ください。 また、手術時間が長い場合や予測出血量などによって、尿道カテーテルを挿入させていただくことがあります。   ④手術中の全身麻酔管理 全身麻酔中は、担当麻酔科医が患者さんの状態と手術の進行状況を見ながら、麻酔の深さや人工呼吸の条件を適切に調節して、最適な麻酔状態を保ちます。 また、麻酔科医は麻酔薬の管理だけではなく患者さんの体がベッドから落ちそうになっていないか、体温が低下していないかなど、随時手術室のスタッフと確認しています。特に、低体温は麻酔の覚醒の質や手術部位感染に影響を与えるので、気をつけています。   ⑤手術終了時 手術が終わりましたら、麻酔薬の投与を中止します。中止して10分程度で麻酔から覚醒してきますが、すると次第に患者さん自身の呼吸が出るようになってきます(自発呼吸)。自発呼吸の出現を確認し、意識が戻ったら気管に入っていたチューブを抜きます。 なお、気管チューブを抜いた後、「手(足)は動きますか?」と声をおかけします。もしそれがお分かりでしたら、手足を動かしていただけますと、覚醒状況が把握しやすいのでご協力をお願いいたします。  また、尿道カテーテルに違和感をもつ方もいらっしゃるかもしれませんが、通常一日程度で抜去できますのでご安心ください(「どうしても尿道カテーテルが嫌です!」という方は、麻酔科医あるいは看護師にご相談下さい。手術によっては尿道カテーテルを全身麻酔中にのみ留置し、覚醒前に抜去できる場合もあります。)。  患者さんの状態(血圧や呼吸など)が安定しているようでしたら、手術ベッドから病棟のベッドに移動し、病室に帰ります。   (4)全身麻酔の合併症(副作用・リスク) ここからは代表的な全身麻酔の合併症について説明させていただきます。 ・歯が欠ける、抜ける 全身麻酔中は人工呼吸を行うために、口からチューブを入れる必要があります。この操作時や麻酔から覚醒するときに歯をくいしばってしまい、 グラグラした歯や義歯が損傷することがあります。   ・喉の痛みやかすれ声 声帯は気管にある膜で、声を出すのに使います。気管にチューブを入れる(気管挿管)ときや、長時間の人工呼吸で声帯に少し傷がつき、手術後数日は喉の痛みやかすれ声が続くことがあります。  まれに、披裂軟骨と言われる喉の軟骨が気管挿管を行うことにより脱臼し、同様の症状が発生することがありますが、こちらは回復までに時間がかかる可能性があります。   ・肺炎(誤嚥性肺炎) 麻酔中や麻酔直後は、胃の内容物が気管内や肺に入り、ひどい肺炎が起きることがあります。 そのため、手術前の絶食・絶飲の指示は必ず守って下さい。   ・悪性高熱症 麻酔薬により筋肉が硬直したり、高熱が生じたりする病気です。 このような遺伝を持っている人は2万人から6万人に1人程度ときわめてまれです。血縁の方に麻酔でこのような異常反応を起こした方がいれば主治医あるいは麻酔科医に必ずお知らせ下さい。   ・アレルギー 麻酔や手術の消毒などで使用する薬が体に合わなくて、蕁麻疹があらわれたり、呼吸困難になったりすることがあります。   合併症は、十分にお話を伺い、検査や診察の結果をふまえて細心の注意を払って麻酔することで予防できると考えております。しかし、麻酔も医療行為である以上、100%安全な麻酔は存在しません。常に100%安全な麻酔を目指し、我々船橋整形外科病院スタッフは日々研鑽し、努力しております。   (5)船橋整形外科病院麻酔科の特徴 当院には10名の麻酔科専門医が常勤しています。そのため、患者さん一人に対して一人の麻酔科専門医が麻酔を担当することができ、麻酔の質が高いと考えています。また、手術中だけでなく、術後鎮痛などにも麻酔科医が積極的に関与しています。これにより、術後早い時期からリハビリを始められ、入院期間の短縮、早期社会復帰につながっています。  また、膝や肩、骨折の手術では全身麻酔に併用して末梢神経ブロックも積極的に施行しております。末梢神経ブロックは、手術をする場所の痛みを伝える神経のまわりに局所麻麻酔薬を投与して鎮痛を得る方法です。末梢神経ブロックを併用して全身麻酔を行うことにより、術中の麻酔薬の使用量を減らすことができるので、薬剤の副作用を軽減できます。また手術中だけではなく手術後も神経ブロックの効果が続きますので、術後数時間から半日は手術による痛みを和らげることが可能です。   (6)全身麻酔について患者さんからよくある質問 Q:前回、全身麻酔を行った際、吐き気が強かったのですがなぜですか? A:全身麻酔のあとで吐き気が続き、実際に吐いてしまうこともあります。女性の方や乗り物酔いしやすい方に多く見られます。過去に全身麻酔後の吐き気で苦しまれた方は、吐き気の出にくい麻酔方法や鎮痛手段もありますので、遠慮なく申し出て下さい。   Q:全身麻酔に危険性はありますか? A:全身麻酔による死亡事故は非常にまれで、一般的には0.0003%(100万例中3例)と報告されています。全身麻酔による危険性は極めて低く、現代において全身麻酔は安全性の高い医療行為の一つであると考えます。   Q:全身麻酔中に目覚めたり、麻酔薬が効かないことはありませんか? A:全身麻酔で使用する薬剤は非常に強力なので、手術中に目覚めてしまうことはまずありません。ほとんどの患者さんは、手術室に入室したくらいまでの記憶しかなく、病室に戻って1時間程度してから記憶がはっきりしてくるようです。 また局所麻酔薬の効きが不十分な場合は、痛くないよう追加しますのでご安心ください。   何か全身麻酔について不安や疑問がありお聞きになりたいことがございましたら、是非、麻酔科医、手術室スタッフにお声かけください。お待ちしております。   執筆者 医師:三村文昭 看護師:金子誠  

ふなせいコラム:肩

肩の脱臼について

今回は肩の脱臼について、船橋整形外科病院で過去に行ってきた肩の脱臼の治療をもとに、原因・症状・手術などについてわかりやすく解説していきたいと思います。 当院の解説 船橋整形外科病院は千葉県船橋市に所在し、“整形外科における専門医療の実践”を柱とした整形外科専門病院です。手術件数などの詳細はこちらをご確認ください。   Q:肩の脱臼の原因について教えて下さい? 肩の脱臼とは、腕の骨(専門用語で上腕骨【じょうわんこつ】といいます)が、肩甲骨の受け皿(関節窩)から外れてしまった状態のことで、多くの場合、けがによって起きます(外傷性脱臼といいます)。 肩が脱臼した際に関節窩の周りにある関節唇が損傷します。 これをバンカート損傷(Bankart損傷)と呼びます。このバンカート損傷は自然には修復されず、さらに靭帯が緩んでしまうと脱臼を繰り返します。これを反復性脱臼といいます。 Q:肩の脱臼の症状について教えて下さい? 通常、肩を脱臼した時には痛みを生じ、肉眼的にも肩が変形するといった症状がみられる場合もあります。また、脱臼にともなって腋窩神経などの腕神経叢と呼ばれる神経が一時的に麻痺し、肩や腕に力が入りにくくなることが起こる場合もあります。肩の脱臼を繰り返した反復性肩関節脱臼の場合には、特定の位置で肩が脱臼しそうになるという不安感が生じることがあります。   Q:肩の脱臼をしたとおもったら、どうしたいいですか? 肩の脱臼が自然に治らない場合はただちに病院に行き、脱臼しているかをレントゲンで確認した後、医師により脱臼を整復してもらいましょう。 肩の脱臼が自然に治った場合でもあまり無理に肩を動かさないようにし、安静を保ちながら肩の専門医師のいる病院を受診してください。 とくに肩の脱臼が繰り返し起きている場合には、専門的な治療が必要になりますので肩の専門医師がいる病院を受診する事を強くおすすめいたします。   Q:肩の脱臼の診断方法はどういったものがありますか? 肩のレントゲン写真を撮り、脱臼しているかを確認します。また、骨折を伴っていないかも同時に確認します。 次に肩の脱臼の原因を詳しく調べるためにCTやMRI検査を行います。   CT:主に骨の形態、骨折の有無を確認します。 MRI(関節造影):レントゲンやCTでは見えない靭帯や関節唇の損傷(バンカート損傷)を確認します(注:検査前に生理食塩水を関節内に注射して評価します)   Q:船橋整形外科病院では肩の脱臼の手術はどのように行っていますか? 手術は原則関節鏡視下手術で行っています。手術時間は患者様の症状にもよりますが1時間から2時間で終わります。肩の骨や靭帯の状態が悪い場合は骨移行術(ブリスト―法)を行う場合もあります。 鏡視下手術のメリットは従来の手術法(関節鏡を使用せず直視下に行う方法)と比較すると、傷口が小さいため正常組織を傷つけにくい、痛みが少ない、術後の感染が少ないなどの利点があります。 また、美容的観点からも手術後に残る傷跡は多くの場合小さな痕しか残りません。 当院での方法は鏡視下バンカート修復術と言われる方法で行っています。鏡視下バンカート修復術とは、関節窩の端に糸のついた非金属性のビス(アンカー)を骨に打ち込み、損傷した関節唇とゆるんだ靱帯に糸を用いて靭帯に緊張をかけ修復をします。   ポイント:当院での鏡視下バンカート修復術は、患者様のスポーツ歴などの背景によっていくつかのバリエーションがあります。 手術後の再脱臼のリスクを減らす目的で、バンカート法に加え補強処置をおこなう場合があります。患者様の年齢(特に10代は再脱臼のリスクが高いです)、肩関節の状態、現在おこなっているスポーツ活動の種類によって手術の補強処置をおこなっています。 現在行われているスポーツへの復帰や、今後やってみたいスポーツなどありましたら手術、前に必ず医師にお伝えください。 以下が主な補強処置です。   補強処置①:腱板疎部縫合術 腱板疎部というのは前方の腱板である肩甲下筋腱と棘上筋腱の間のことで、この腱板疎部を糸で縫合し、関節自体の容量を小さくすることで再脱臼を予防するための処置です。 補強処置②:レンプリサージ法 脱臼の際にできてしまった上腕骨頭後方の陥没部分(ヒルサックス病変と言います)にアンカーを挿入し後方の腱板に糸をかけこの陥凹を埋めるように縫い付ける方法です。この陥没が大きいと損傷したバンカート病変にはまり込み、脱臼が起こりやすくなるため、レンプリサージ法が必要になることがあります。 とくに相手との接触機会が多いスポーツ(ラグビー、アメリカンフットボール、サッカー、バスケットボールなど)に関わる患者様の場合は、タックルやトライなどスポーツ活動中の再脱臼の可能性が高いため、腱板疎部縫合術とレンプリサージ法を併用して行います。また、オーバーヘッドスポーツ(野球・ソフトボールなどのボールを投げるスポーツ、テニスやバドミントンなどのラケットを振るスポーツ)の患者様の場合には、投球やスイングの妨げにならないように可動域を確認しながらバンカート修復術のみを行います。 このように患者様のスポーツ内容によって、一人一人に最適な術式を選択して行っております。   Q:肩の脱臼は手術をしないと治りませんか? 脱臼の際に関節唇が損傷(バンカート損傷)した状態で靭帯が一度緩んでしまうと、脱臼がくせになってしまう場合があります。この病態を反復性肩関節脱臼といいます。 反復性肩関節脱臼になると、テーピングや装具で肩を押さえても不安定感が残り再脱臼をおこします。 また肩がいつ脱臼するのかわからないという不安で日常生活が過ごせない、肩の痛みや不安定感があり全力でスポーツができないなどの理由で手術を希望される患者様もいらっしゃいます。 不安な気持ちがある方は一度当院でお話だけでもいただけたら、最適な治療方法をご説明出来ると思いますのでお気軽にお問い合わせください。   Q:肩の脱臼の手術は痛いですか?どのような麻酔をしていますか? 船橋整形外科病院では経験豊富な麻酔科医(麻酔専門医10人)の管理のもと、患者様の術後の痛みを少しでも軽減出来るように、全身麻酔と神経ブロックを併用して麻酔を行っています。 全身麻酔とは、手術中の痛みや意識を取り除き、手術が安全に行えるように患者様の全身状態を維持することです。手術室に入室後、点滴の管から麻酔薬を投与して眠っていただきます。全身麻酔中は深い眠り(無感覚/無意識)のため、口からチューブをいれて人工的に呼吸を管理します。また、手術中および手術後の痛みを最小限におさえるために、神経ブロックも併用します。神経ブロックは執刀直前に麻酔科医により行われます。首の付け根から、肩や腕の神経の周囲に麻酔薬を注射し、肩や腕の痛みを感じる神経をブロックします。 神経ブロックを行うことで、手術後12時間程度はほとんど痛みを感じることはありません。通常、手術後の痛みは術後2日ほど続きますが、神経ブロックの効果消失後は内服薬や座薬などの鎮痛薬に切り替えます。     Q: 肩の脱臼の手術の入院期間はどのくらいになりますか?入院から退院までの流れを教えてください。 通常は3泊4日の入院で、手術後2日目で退院となります。 初日(術前日) 装具合わせ、入浴、リハビリ(術前評価) 2日目(手術当日) 手術、術後3時間で歩行・飲食可能 3日目(手術翌日) リハビリ開始、創部消毒、更衣・シャワー・装具着脱訓練 4日目(術後2日目) 退院   以上が大まかな流れです。ただ患者様の状況に合わせて若干の変更がありますので、必ず医師またはスタッフから説明させていただきます。なにか疑問がありましたらスタッフまでお気軽にお問い合わせください。   Q:退院後の生活は?装具をいつまで装着したらよいですか? 更衣・入浴 退院直後からご自身で可能となります(正しい方法を入院中に指導します) リハビリ 退院後、数日以内に開始します。 通学 退院後すぐに許可しています 抜糸 術後10日目頃に外来で行います(※抜糸前は傷口の汚染に注意してください) 装具 約2-3週間継続します(通常は衣服上に装着します(下図参照)) 運転 装具がはずれてから可能となります     Q:肩の脱臼の手術費用はどれくらいになりますか? 手術方法や患者様の症状などにより費用は若干異なります。おおよその費用は手術前に当院のスタッフから説明させていただきます。当院の場合、3割負担の患者様で入院日数4日間の場合約23万円の自己負担額になります。高額医療制度という、医療費の自己負担額が払い戻される制度を使用することも可能ですので、お気軽にスタッフまで御相談ください。   Q:仕事復帰や競技(スポーツ)復帰の時期はいつごろになりますか? 仕事についてはデスクワークであれば、退院後すぐに許可しております。軽作業の場合は術後2~3ヶ月、重労働の場合は、術後5~6ヶ月頃から可能となる見込みです。 競技復帰に関しては、術後約1ヶ月でジョギングや体幹・下半身の運動を開始します。 手術をした組織の修復には約3ヶ月を要するため、肩に負担のかかる競技やトレーニングの開始は術後約3ヶ月頃となります。 競技完全復帰時期はスポーツ種目や個人の回復具合により異なりますが、術後5~6ヶ月頃を目標とします。競技完全復帰まで継続的にリハビリを行います。術後2年間は診察を継続し、術後6ヶ月、1、2年時に肩の状態を定期的に確認します。   以上になります。他にもなにか質問があれば医師、スタッフにお気軽にご質問ください。   執筆者 看護師:金子誠 医師:星加昭太    

 
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