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ふなせいトピックス一覧

2023.11.09

ふなせいコラム:背中

 

側弯症(小児例)について

はじめに 船橋整形外科クリニックで2019年から側弯症専門外来を開設いたしました(月1回土曜日午前中)。側弯症(主に小児例)について解説いたします。   当院の解説 船橋整形外科病院は千葉県船橋市に所在し、”整形外科における専門医療の実践”を柱とした整形外科専門病院です。手術件数などの詳細はこちらをご確認ください。   脊柱(せぼね)は通常、正面からみるとほぼまっすぐですが、脊柱が横方向に曲がり、ねじれを伴う状態を側弯症といいます。 自覚症状は無く、側弯症の大部分は学童期から思春期に発生し、学校検診で指摘されて受診されることが大半です。成長に伴い悪化することがあるため、早期の発見と管理が重要です。   詳細は日本脊柱変形協会(http://j-sdi.org/patient_and_family/)、日本側彎症学会(https://www.sokuwan.jp/patient/)のホームページにも記載がありますので、ご参照ください。   Q & A *原因は?  側弯症の約8割を原因不明の特発性側弯症が占めます。残りの2割が先天的に背骨の奇形があるもの、脳性麻痺、筋ジストロフィーやマルファン症候群などの疾患によるものなど、原因が判明しているものがあります。病因の一部に遺伝の影響があると考えられており、特発性側弯症患者の家族内にもしばしば側弯症患者がいることがあります。   *早期に発見するためには? ご家庭でもできるチェックがあります。 ・真っ直ぐに立たせた状態で背中を観察します。 まっすぐに立った状態で肩の高さ、肩甲骨の高さに差がある、ウエストが片方だけくびれて左右差がある。   ・両腕を前に垂らした状態で背中をおじぎさせて、前か後ろから確認します。 肩、背中、腰の高さに左右差がある。   これらのことが確認されましたら、側弯症の疑いがありますので専門医にチェックしてもらう方が良いと思われます。   *側弯症で何が問題になるのか? 学童期や思春期には自覚症状が無いことがほとんどですが、側弯症が進行し成年期になると加齢による変化も加わり腰背部痛で日常生活が困難になることがあります。 また、側弯が高度になると呼吸機能低下につながることがあり、肺活量の減少や息切れを感じるようになることがあります。   *治療はどのようなことを行うか? 側弯症の程度と年齢を考慮して治療法を選択していきます。   ・側弯が25度未満の場合には定期的なX線検査と診察を行います。 ・側弯が25度以上で、かつ成長期で側弯の進行が予測される場合には進行防止のために装具治療(写真のような硬性装具)を行います。   ・側弯が40度もしくは45度以上の高度になる場合には手術加療を視野に入れていきます。その場合には側弯症手術専門の病院に紹介いたします。     運動器検診で指摘されたり、ご家庭のチェックで側弯症が疑われる方がおりましたら、側弯症専門外来受診をお勧めいたします(船橋クリニック:月1回土曜日午前中)。   執筆医師:飯島靖

2023.06.02

ふなせいコラム:膝

 

変形性膝関節症の保存療法② ~リハビリについて~

  はじめに    膝に痛みのある患者さんに向けて、膝関節のリハビリテーションについて解説したいと思います。 当院の解説 船橋整形外科病院は千葉県船橋市に所在し、”整形外科における専門医療の実践”を柱とした整形外科専門病院です。手術件数などの詳細はこちらをご確認ください。   目次 1.身体機能のチェックポイントについて  ・膝関節伸展テスト  ・立ち上がりテスト 2.リハビリテーションについて 3.運動療法の効果について 4.まとめ   1.身体機能のチェックポイントについて    膝の痛みを減らすには自分の身体を知ることが重要になります。ここでは柔軟性、筋力のチェック方法について解説したいと思います。 ○チェックポイント ①膝関節伸展テスト(図1)  ・床に膝を伸ばして座り、床と膝の間に隙間が無いかを確認します。 判定:床と膝の間に隙間が無ければ正常。    隙間がある場合は下肢後面の柔軟性が低下しています。 図1 ②立ち上がりテスト(図2)  下半身筋力・バランス能力がわかります。  測定方法:台に座り、胸の前で腕を組み立ち上がります。(図2)  ※壁や机の近くで行い、転倒に注意してください。   図2 判定:台の高さによってできる動作が変わってきます。(図3) 図3 ○大腿四頭筋、殿筋について  立ち上がりで必要な筋肉はもも前にある大腿四頭筋、おしりの殿筋です。それぞれがどんな役割を持っているのかを解説します。 ・大腿四頭筋は歩行などで膝にかかる衝撃を吸収する役割があり、膝にかかる様々な負担を軽減することができます。 ・殿筋はお尻についている筋肉で身体を支えたり、バランスを保つ役割(図4)があり、動作時の安定性が向上します。これらの筋肉をトレーニングすることで膝へのストレスが軽減し、日常生活の質を高めることができます。   図4   2.リハビリテーションについて  変形性膝関節症の保存的なリハビリテーションには運動療法が有効になります。上記の身体のチェックで2つの項目がありましたのでその項目に沿って解説します ○下肢後面のストレッチ  膝関節の伸展テストで膝裏に隙間があった方はもも裏のハムストリングスと下腿後面の腓腹筋の柔軟性が低下しています。それに対する運動療法はハムストリングス(図5)と腓腹筋(図6)のストレッチを行い、柔軟性を改善することで膝関節伸展の可動域が改善され、歩行時に膝関節を伸展しやすくなります。 図5 図6 ○立ち上がりテスト  立ち上がりテストで40cmの台から両足で立ち上がれなかった方は立ち上がる能力の低下やバランス能力の低下しているため、歩行時に膝関節に負担がかかってきます。原因としてはもも前やお尻の筋力が低下しています。それに対する運動療法を紹介させていただきます。 ①タオルつぶし(図7):もも前の内側の筋力を強化します。  もも前の筋肉は立位姿勢や歩行時の膝を伸ばす際に重要な筋肉になります。 図7   ②チェアスクワット(図8)、③片脚立ち(図9)ではもも前とお尻の筋肉を強化します。椅子からの立ち上がりや階段などで使う筋肉や歩行時のバランス能力を向上させるのに重要な筋力になります。 図8 図9   3.運動療法の効果について  患者さんに合わせてトレーニング指導を中心とした体操教室を船橋整形外科西船クリニックで行ないました。変形性膝関節症と診断された患者さんを対象に疼痛3項目、身体機能評価6項目のアンケート調査を行い、教室参加なし群と教室参加群の比較を行いました。結果は体操教室に参加された患者さんで疼痛、日常生活動作に関係する項目で改善が見られました。詳細は以下に報告させていただきます。 ○膝関節の痛みについて  歩行時、階段昇降、荷重時の痛みでは教室に参加しなかった患者さんより教室に3ヵ月参加した患者さんの方が、痛みが改善したという結果でした。(図10) 図10 ○日常生活動作について  日常生活動作(歩行、階段昇降、立ち上がり動作、買い物、車の乗り降り)が大変かという質問に対して、ホームエクササイズを行なっている患者さんでも改善が見られましたが体操教室に参加された患者さんに大きな改善が見られました。(図11) 図11 4.まとめ  膝関節の痛みを止めるために、ストレッチやトレーニングをおこない、筋力と柔軟性を獲得することが大切です。適切な運動を実施し、痛みをださない・再発させないことが必要です。  当院では膝の状態を医師が判断したあと、各自に合った運動を療法士が作成し指導しています。膝の痛みで困っている場合は一度診察にいらしてください。   執筆:西船理学診療部 藤原教弘 監修医師:二宮太志

2023.05.26

ふなせいコラム:膝

 

変形性膝関節症の保存療法① ~なぜ膝に痛みが出るのか?~

はじめに  膝に痛みのある患者様に向けて、膝関節に痛みが発生しやすい人の特徴について解説したいと思います。   当院の解説 船橋整形外科病院は千葉県船橋市に所在し、”整形外科における専門医療の実践”を柱とした整形外科専門病院です。手術件数などの詳細はこちらをご確認ください。   目次 1.なぜ膝の痛みが出てしまうのでしょうか? 2.変形性膝関節症について  ・変形性膝関節症の症状  ・なぜこのような症状が出るのか  ・歩行動作の特徴 3.まとめ   1.なぜ膝の痛みが出てしまうのでしょうか?  主に痛みの原因と言われているのは、加齢・体重増加・筋力低下です。このような原因により、関節のクッションである半月板の損傷や軟骨がすり減ってしまい、関節の隙間が狭くなってしまうことで痛みが生じるようになります。この痛みが変形性膝関節症の原因となってきます。   2.変形性膝関節症について ○変形性膝関節症の症状  変形性膝関節症は50歳以上の女性に多く、特に肥満の方がなりやすいと言われています。 症状としては、①疼痛、②腫脹、③関節の変形、④膝関節の可動域制限があります。 ※詳しくは2022.02.19の「膝の痛みがある方へ 。それ、もしかしたら変形性膝関節症かもしれません。」に記載されています。   ○なぜこのような症状が出るのか  人は両足で体重を支えながら歩いています。歩行時では約2倍もの体重が膝関節にかかると言われています。例えば:40kgの人は80kg、60kgの人は120kgのストレスが膝関節にかかります(図1)。なので、単純に体重を減らすだけでも膝への負担は減らすことができます。 図1  しかし、体重を減らすのはなかなか大変だと思います。そこで膝関節への負担を減らす鍵となるのは筋肉量になります。同じ体重の人でも筋肉量が多い人と脂肪量が多い人では膝関節にかかる負担が違ってきます。筋肉量の多い人では筋肉で身体を支えることができるため、動作を行う際に衝撃吸収やふらつきを制御でき、脂肪量が多い人では身体を支える力が少なく、動作の制御や衝撃吸収ができず軟骨や半月板にストレスがかかり痛みが出やすくなってしまいます。(図2)   図2  筋肉量と膝痛の関係について解説します。(図3)下半身の筋肉量が多いと平地歩行や階段、立ち上がり動作などでバランスをとり、身体を支えることで膝関節へのストレスを少なくすることができます。筋肉量が少ないと身体を支えることができず、バランス能力が低下してしまうため膝関節へのストレスが多くかかってしまいます。体重増加や筋力低下により膝関節にストレスがかかり軟骨が擦り減り、関節の隙間が狭くなることで痛みが出てきてしまいます。   図3 ○歩行動作の特徴  歩行には踵を着く、身体を支える際に膝が伸び切る瞬間があります。(図4) しかし、その時期に膝がしっかりと伸びていないと膝へのストレスが大きくなり痛みが出やすくなります。(図5)   図4:正常な歩行   図5:膝が曲がっている歩行   3.まとめ  膝に痛みがでた当初は安静が必要ですが、過度に安静にしすぎてしまうと、筋力低下や、関節の動きづらさが出現します。その状態で日常生活を送るとより膝に負担がかかり、さらに痛みが悪化するという悪循環が起こります。膝の痛みで困っている場合は一度診察にいらしてください。   執筆:西船理学診療部 藤原教弘 監修医師:二宮太志

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